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朝を見ていた

2009.10.25 *Sun
オリジナル小説のカテゴリを作ったのに何も入れないなんて卑怯だと思った。

と、いうわけで知ってる人は知ってる部活で書いたものをあげてみようかと。
オリジナル・・・オリジナル・・・と念じて書いてたのになんだか某大先生の
○バサク○ニクルと似たような設定になってしまったお・・・orz
内容はともかく詩と小説を融合させたようなつくりのこの小説は、我ながら
けっこうお気に入りだったりします。はい。

前書きが長すぎた!本編は続きを読むからどぞ。
朝を見ていた


 ふっ、と躰が堕ちた気がした。
 眠りから覚める瞬間の、自分が還る感覚。
 それは、神聖な儀式のようなものだと思う。
 長い眠りの旅から還る儀式。魂を宿す儀式。
 そんなことを思いながらむっくり起き上がると、東の大きな窓から朝日が差し込んでいた。
 柔らかなそれは、レースのようにきめ細やかで、軽い。
 そんな光と共に、何かが宙に踊っている。
 カーテンを閉め忘れたことは気にも留めずに、じぃ、と窓の外に眼を凝らすと、親指ほどの羽がひとひら、舞い降りてきた。
 呼ばれた気がした。
 そう、とスリッパに足を入れて、まだ覚醒しきっていない身体で、窓を開け、手を伸ばすと、それは簡単に掌に収まった。
 羽は、金色のような、銀色のような、とにかく輝きの色をしていた。
 何の羽だろう。
 口許に手を添え、身体と同じようにはっきりしない頭で考えるが、いまひとつぴんとこない。
無限ループしそうな思考を投げだし、再び羽に視線を戻すとそれを朝日に透かしてみる。
何色ともつかない濃くて淡いそれは、空でもあり雲でもあり、また土でもあり花でもあった。
綺麗だった。
見たことのない、美しさだった。
不思議で綺麗なその羽は、そのまま手放してしまうには惜しい気がした。
何かに入れておこう。
キッチンの棚を掻き回すと、手ごろな大きさの瓶があった。
すっ、と羽を入れると、瓶の中から幽かな光を放っていた。
捕ってきた蝶を籠に入れるのと似ている。
ちょっと嬉しくなって、その小さな瓶を高く高く掲げると、光の届かないキッチンにそれは素敵に映えた。
ささやかな、宝物。
そんなフレーズがふっと浮かんだ。
しかし、これは宝物というよりも、もっと違う呼名があるように思う。
なんと呼べばいいのだろう。

「―――“欠片”だよ。それは」

 声の方、先ほど羽を取るために開けた窓を振り返ると、そこには見たことのない青年が立っていた。
自分よりも少しだけ背が高い一見普通の青年。しかしその背中には白い翼が生えている。

「それは失くした想い」

 ゆっくりと、紡がれる言葉。
 胸の奥深くに沁みこむ声。
 ただ呆然と見つめることしかできなかった。

「想いはこころ。こころは魂」

 青年はそっと瞳を閉じて、静かに語る。

「だからそれは、“魂の欠片”」

 青年の語りは、直接頭に入ってくるような不思議な語りだった。そしてゆっくりと腕を持ち上げ、にっこりと笑いかける青年は、私の持っている瓶を指差した。

「きっと君に呼ばれたんだね。届ける前に、向かっていったから。―――その羽は君の失くした想い。どこかで落した、もしくは置いてきた魂の欠片。それを君に還すことで、君の翼は完成する」

 自分の背中が不意に温かく感じたその瞬間、ふわっ、と自然に、痛みもなく翼が現れた。
突然のことに眼を丸くしたが、どうして、とか、なんで、とか、そういった疑問や不安はなかった。
忘れていただけで、最初から持っていたのだ。
 視えない、だけどみんな持っているものなのだ。生きていくための、想いの翼。

「完成した翼でなければ、未来に向かって翔んでいくことはできない。立ち塞がる困難や、溺れてしまうような深い悲しみに打ち勝つことはできない。夢を叶えることも難しくなる」

 青年は静かにこちらへと歩み寄ってきた。そして真っ直ぐに、私の瞳を見つめる。

「だから還しにきたんだ。必要な時がきたから。これからの君には、なくてはならない想いだから」

 青年の手が宙を舞うと、瓶の中の羽はひとりでに瓶を抜け、私と青年の間に漂っていた。そして私が両の掌で受けとめると、じんわりと沁みこんでいった。
 ふっ、と躰が浮いた気がした。
 想いが還る瞬間の、自分が孵る感覚。
 それは、神聖な儀式だ。
 あどけない未熟な自分から孵る儀式。魂を宿す儀式。
 そんなことを思いながらゆっくり眼を開くと、そこには誰もいなかった。


  *****


「彩雫、式が始まるまでにもう一回全身のチェックしておきなさいね。高志さんの隣でみっともなくように」
「分かってるってばお母さん。ちょっと独りにしてくれる?」
「はいはい」
 結婚式が始まる少し前、私はあのときのことを思い出していた。
 不思議な青年と、掌に溶けた羽。
 今思えば、夢だったのかと思うほど現実離れしていてとても信じられない出来事だった。
 だけど。
 あれから私の心に、温かい想いがひとつ、増えていた。
 まだなんと呼んだら良いのか分からないけれど、大切なものには違いなかった。
 ささやかな、想い。
この想いを抱いて、これから私は愛する人と一緒に、未来へ翔んでいくんだ。
「彩雫、準備はできた?そろそろ時間よ」
 ノックもせずにお母さんは、顔を半分だけ覗かせて急かしている。
「はーい」
 最後に姿見で全身チェックを済ますと、式場へと急いだ。
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望月薫

Author:望月薫
・脱ティーン。梅酒おいしいね。
・お話やら詩やらを書いてます。最近書いてないけど。
・あと写メで撮ったアナログイラストも描いてみたり。
・ソフト萌えでも音楽萌えでもキャラ萌えでもなんだっていいじゃない!そんなボカロオタク。KAITO中心(カイミク寄り)だけどわりとなんでもうまうま。
・我が家にきたカイト・ユキ・ミクは天使!
・クラロリ、アリスっぽい服装好き。
・森ガールじゃないんだってヴぁ!
・もう森ガールでもいいや(←
・台所は俺のテリトリー

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